みなさん、こんにちは!
「監督が怒ってはいけない大会 ~サッカー in 八王子~」の吉武です。
最近、「オーバーコーチング」という言葉を耳にするようになりました。
このキーワード、ご存じでしょうか?
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スポーツを通じた子どもの成長を
考えるためのニュースレター #15
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オーバーコーチングを一言でいうと、「過度な指導」「教えすぎ」でしょうか。
選手に指示を出しすぎて、自由な発想や判断を奪ってしまうことを指します。
「今のはシュートだろ!」
「左サイドが空いている、左にパスだ!」
「もっと左に広がれ!あと2メートル!」
よく試合で聞かれるコーチの声がけですよね。
もちろん、場合によって試合中の選手への指示は必要でしょう。
こうした声がけのすべてが悪いわけでもありません。
でも、最近では「過度な指示は、選手から主体性や自ら考える力を奪ってしまう」と言われるようになりました。
例えば、冒頭の「今のはシュートだろ!」の場面。
コーチはそう叫ぶのではなく、その選手がなぜパスを選択したのか、聞いてあげることも大切ではないでしょうか。
最近では、体罰はもちろんのこと、暴言・叱責も子どもの人間的成長を阻害すると、否定的な見方が広がっています。そして、教えすぎる「オーバーコーチング」も、子どもたちの主体性や考える力を奪うと言われるようになりました。適切なコーチングとの境目は難しいとは思います。皆さまのチームではどうでしょうか。
「確かにボールを右に出したときに、そのまま右足でシュートを打てるとも思った。
けど、その先にいた相手のDFが反転してこっちに足を伸ばそうとしたのが見えたんだ。
それで、その足に当たっちゃうと思って。
だから、その子がマークを外した右奥の味方にパスしたらノーマークでシュートが打てるかなって。」
プレーする中で、咄嗟にそんな風に考えていたのかもしれません。
確かに、小学生がここまで言語化するのはなかなか難しいでしょう。
しかし、「あのパスはどう考えて出したの?」という質問から、色々な会話が生まれるのではないでしょうか。
そうした会話は、自分の考えを言葉にしたり、さらに深く考えたりというトレーニングになるでしょう。
そして、大人が話を聞いてあげることで、選手のE-Tank*も満たされます。
コーチや親に自分の考えを話しても「怒られない」「聞いてもらえる」と思うことが、心理的安全性や自己肯定感につながるからです。
*E-Tankに関してはこちらから
厄介なところは、監督の指示通りに動くと、ある程度は試合に勝ててしまうところ。
選手のポジショニングや動きを細かく指示することで、ミスを減らすことは可能です。
実際に、試合中に鬼の形相で怒鳴っているコーチを見かけることも多いのでは。
しかし、それは子どもたちを恐怖で支配して、目先の勝利を追っているだけ。
それで試合には勝てるかもしれませんが、子どもたちの考える力や主体性を奪い、長期的な人間的成長を阻害する可能性があるので、注意が必要です。
「監督が怒ってはいけない大会」に参加されるチームでは、そのような心配は少ないと思います。
でも、どこまでが適切なコーチングで、どこからがオーバーコーチングなのかとなると、その判断は難しいですよね。
まずは、「オーバーコーチング」という見方があることを知っておくだけでも、プラスだと思います。
最後に、このオーバーコーチングにも関係する1冊の本をご紹介したいと思います。
その名も「教えないスキル」。
スペインのビジャレアルでコーチとして活躍する佐伯夕利子さんの著書です。
スポーツや教育など、色々なところで話題になっています。
既に読まれたという方も多いのではないでしょうか。
指導者だけではなく、保護者の方にもオススメの一冊です。