みなさん、こんにちは!
「監督が怒ってはいけない大会 ~サッカー in 八王子~」の吉武です。
大会当日、益子直美さんの「アンガーマネジメント・セミナー」に続いて、Athlete Academyの渡邊紗恵子さんによる「ライフスキル・セミナー」が行われました。
今回はその「ライフスキル」をテーマに、改めてお届けしたいと思います!
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スポーツを通じた子どもの成長を
考えるためのニュースレター #12
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★ライフスキルとは?
ライフスキルとは、その言葉の通り「生活の能力」。
もう少しかみ砕くと、「普段生活していると、トラブル含めて色々起きるけど、それらにうまく対応できて、前向きにハッピーに生きていける能力」という感じです。
国連の世界保健機構(WHO)は、ライフスキルを以下の5項目10種類に分類しています。
1. 意思決定 ・ 問題解決の思考
2. 創造的思考 ・ 批判的思考
3. コミュニケーション ・ 対人関係スキル
4. 自己認識 ・ 共感性
5. 情動への対処 ・ ストレスへの対処
※簡単な説明を末尾につけています。
1990年代後半、子どもの虐待や家庭内暴力、喫煙・アルコール・薬物、エイズや思春期の妊娠などの社会問題を議論する中で、「教育はこういうあるべき」として、このライフスキルが提唱されたのです。
それから四半世紀が経過しましたが、今でもとても大事なスキルですよね。
テクノロジーの発展や気候・社会情勢の変化で、未来の予測が困難な今の時代、このライフスキルの重要性がさらに高まっています。
★サッカーが育むライフスキル
このライフスキル、サッカーでもものすごく必要なスキルではないでしょうか?
サッカーの試合を想像してみてください。
ピッチの中には、この10個のスキルが凝縮されています。
また、日々の練習でも、コーチやチームメイトと話し合い、目標を定め、メニューを考え、
目的意識を持って取り組むことで、このライフスキルはいかんなく発揮されます。
そうなんです。
スポーツは、ライフスキルを伸ばすのに、ものすごく有効なのです。
★ポジティブコーチングの重要性
でも、もし監督やコーチが、昔ながらの威圧的な指導方法をとっていたらどうでしょうか?
選手たちは、恐怖におびえながらも指示に従い、厳しい練習にも耐えるでしょう。
その結果、体力・走力がつき、ボールの扱いもうまくなって、試合に勝てるようになるかもしれません。
しかし、ライフスキルは伸びるでしょうか?
余計なことを言うとコーチに怒られますから、受け身になり、
意思決定・問題解決・創造的思考・批判的思考といった能力は育ちません。
ごく一部の対人関係スキルやストレスへの対処は伸びるかもしれませんが…
それは、本来望む形の成長ではないですよね。
これが、肯定的な声がけを行う「ポイティブコーチング」が重要である理由です。
「怒らなければ上達しない」「心を鍛えるために厳しさは必要」と考える方もまだ多いと思います。
それを全否定するつもりはありませんが、心理学や教育学などに基づいた科学的な視点を持ち、
子どもたちの人間的成長をサポートすることが、今後より重要になるのではないでしょうか。
引きつづき、月に何回か、スポーツコーチングに関連する情報をお届けしたいと思います。
お楽しみに!
【参考】
1-1) 意思決定:生活の中で建設的に決断する能力。
1-2) 問題解決:生活の中で起こる問題を建設的に解決する能力。
2-1) 創造的思考:意思決定と問題解決をどのように実行するのか、行動や代替案を考える能力。
2-2) 批判的思考:情報を分析し、客観的に判断する能力。
3-1) コミュニケーション:自分の気持ちを言語や非言語で表現する能力。
3-2) 対人関係:ポジティブな人間関係を構築する能力。
4-1) 自己認識:自分自身の性格、長所・短所、願望や望まないことを認識する能力。
4-2) 共感性:他者の生活や気持ち、自分の行動によって他者がどのように思うかなどを想像する能力。
5-1) 情動への対処:自分や他者の感情がどのように行動に影響するかを認識し、適切に感情に応えられる能力。
5-2) ストレスへの対応:日常生活のストレスを認識し、それがどのように自分に影響するのか、コントロールする能力。